ギターポップ学科 第六回講義



講師 イアン・マッキンリー

フォークやカントリーなどの影響が強いバンドを紹介しようと思ったわけだけど、いわゆるオルタナカントリーとか、ルーツロックとかいわれるようなやつだよな・・・。それにしても、オルタナカントリーっていう言葉はすごいな。音響派とかスローコアって表現ももよくわかんないけど。まあ、そういうわけで、そんなイメージに合う作品を選んで紹介していきます。ふう〜。

CRACKER/Gentlemans Blues

80年代アメリカカレッジチャートで、カルトヒーローだったCamper Vam Beethoven解散後にボーカルのデビット・ラウリーが結成したバンドですね。CVB時代はは80年代ハードコア全盛のなか、カントリーやエスニックを取り入れ、ひねくれたつかみどころのない音楽を作り、貴重な存在でしたが、このクラッカーではよりルーツを絞って、ストレートなアメリカンロック的な音になり、初めて聞いたときは肩透かしを食らった感じでした。だてに長いことやってないですね、もう見ている方向が違うんでしょうね。真っ向勝負の風格が漂ってます。でもラモーンズとグレイトフル・デッドのオープニング・アクトをしたことがあるっていうのがこのバンドらしいな〜。このアルバムは4枚目、これからは味わい深くなるだけでしょう。僕同様に・・。
BUFFALO TOM/Smitten

このバンドはダイナソーJrと引き合いに出されて、オルタナの扱いで取り上げられたのが不幸でしたね。それ以降ずっと地味なイメージがついているような気がします。このバンドはオルタナというより、もっとフォーキーでルーツ寄りなバンドなんですよね。2人のソングライターがいて、アンクル・トゥペロみたいにベースの書く曲がポップで、ギターの書く曲が硬派。それぞれ実直な感じでほんとにいい曲なんですよ!バンドのメンバーもみんな真面目そうな人。解散せずに、腐らずに続けてきて、アルバムごとに良くなってると思います。とりあえずがんばって続けてほしいバンドです。ちなみにこのアルバムのサンクスリストには、ティーンネイジ・ファンクラブが入ってました。いい奴だよな。僕同様に・・。
THE MINUS 5/Old Liquidator

ヤング・フレッシュ・フェロウズのボーカルのスコットを中心としたユニット。、REMのピーター・バックやポージーズのジョンとケンの豪華メンバーが参加してました。ヤング・フレッシュ・フェロウズはギターポップ、ポップパンクっぽい音だけど、こちらはもうちょっと歌を重視し、フォークロック寄りですかね。派手さは薄れてるので、始めはピンとこなかったけど、基本的に曲はポップなんで、よく聞いたら良さがわかってきました。なんかスルメアルバムですね。でも、メンバーの割には注目されなかったような気がします。
THE JAYHAWKS/Tomorrow The Green Grass

ミュージシャンズ、ミュージシャンな存在だったこのバンド。マシュースウィート、ティーンネイジ、トムペティがこのバンドをフェイバリットとしてあげたんじゃ聞かないわけにはいかないでしょう。このバンドは美しいメロディーを奏でるフォークロックバンドとでもいいましょうか、「美しい」っていう表現が似合いますね。なんと言っても2人のボーカルのハーモニーが魅力で、その魅力が一番完成されたこのアルバムが名盤です。このあと、ボーカルの1人、マークが脱退してしまい、若干ロックよりになった感じがします。かっこいいのはかっこいいんですが、あのハーモニーが聞けないのが残念でなりません。そんな今日この頃です。
THE LEATHERWOODS/Tpeka Oratorio

ラジオでも紹介したシンガーソングライター、トッド・ニューマンとジェイホークスのドラマー、ティム・オリ-ガンのユニット。このアルバムを買った当時は、田舎で地道に活動しているミュージシャンなんだろうな〜、こんな風に音楽していけたらいいなって、想像膨らましてました。このアルバム以外作品は出てないみたいで、このアルバムは聞きまくりましたね、僕のレコードコレクションの中で聞いた回数でいけば上位に入ります。なぜなのかなって自分でも思うけど。地味といえば地味、めっちゃ普通のにいちゃんの、普通の歌。ドラマティックでなく、斬新な表現もない。アーティストぶったエゴも見せず、媚びることもなく、なにげなくちょっとロマンティックな歌を聞かせてくれます。幻の重要バンド!よっ、大将!!
DEL AMITRI/Twisted

グラスゴーはなんでこんなバンドまで育ててしまうんだろう!めっちゃ男気あふれるアメリカンロック。でも本家アメリカのように頭悪そうな大雑把なロックじゃない。男前なバンドサウンドに、繊細なメロディー、ブルースで片付けてしまわない哀愁。売れるはずです。かっこいいもん。渋い曲も好きだけど、2曲目なんかのロックンロールナンバーも僕の大好物です!このアルバムは4枚目のアルバムで、5枚目の最新アルバムはもっとメロディーが重視されてて、アメリカンロックが嫌いなギターポップファンにもいけるでしょうね。TEENAGE FUNCLUBっぽい曲もあって。もうそろそろニューアルバムも出てもいい頃でしょう、楽しみです。
GOLDEN SMOG/Weird Taler

今は亡き、ソウル・アサイラム(どうしてるんでしょうか?)が参加していることで話題になったこのバンド、ミネアポリスのアーティスト、ジェイホークスやリプレイスメンツのメンバーと集まって始めたユニットで、後にウィルコのジェフ・トゥーディーも参加し、まさに若手ルーツロッカーオールスターズたっだですね。宣伝の仕方もいかにもで、嫌な感じがしたけど、参加しているバンドが好きな人には満足できる内容だと思います。ソングライターが多いので捨て曲が少ない。ソウル・アサライムのギターのダニエルの曲が結構いいんですよね。僕こういうのに弱いんだな。
UNCLE TUPELO/Still Feel Gone

パンク寄りのハードな音楽を聞いてた頃だったので、後期のアルバムを聞いていたら退屈に感じたかもしれないけど、初めて聞いたのがこのアルバムだったのでよかったかな。1曲目のジェフ・トゥーディーが歌う「GUN」が荒々しくてしびれましたね〜。音も一発取りっていう感じがして。後期になるほどアンクル・トゥペロの味が出てくるんだけど、初期の「基本はフォークなんだけど荒々しい」っていうのが新鮮でしたね。パンクバンドなんかと混じって、ライブでやってたら凄くかっこよかっただろうな。何もない田舎の若者っていう武器を出してたバンドですね。
WILCO/A.M.

アンクル・トゥペロはやっぱりジェイ・ファーラーのバンドだったので、表現願望が抑えられなかったんだろね、ベースのジェフ・トゥーディーが結成したバンド。上記で書いてるように僕はジェフ・トゥーディーの書くポップな曲が好きだったので、このバンドは期待しましたね〜。ジェイ・ファーラーは根っからのフォーク狂いに対し、ジェフ・トゥーディーはちょっとポップ寄りで、最近のアルバムなんかはかなりビートルズっぽくなってたりする。玄人はファーラー派なんだけど、僕はトゥーディー派さ!このファーストアルバムではまだ才能が開花されてないみたいな評価があるけど、やっぱりこれでしょ、シンプルなフォークロック調サウンドに、ポップな曲を、胸に染みる声で、シンプルに歌うだけ。OKです!
SON VOLT/Wide Swing Tremolo

上記のアンクル・トゥペロから派生したもうひとつのバンド。アンクル・トゥペロの方向性をより深く追求している音でしょう。ジェイ・ファーラーっていう人は、不器用というか、どフォークしかできないって感じなんですよね。不器用な人の哀愁なのか、この人の声を聞くと妙にさみしい気持ちになります。声も歌回しもこれ以外は想像できないような存在感があります。悪く言えばメロディーがワンパターンになりがちですけど、最近のアルバムはアレンジが多彩になってきて曲が生きてきてる感じがします。このバンドは、新しいアルバムのほうが好きですね。



まあ、大体こんな感じかな。フォーキーといえばある意味、ベル・セバやパーニス・ブラザーズなども入ってくると思うけど、今回はルーツロックっていうイメージがあるバンドにしときました。こういう音のバンドは、R.E.Mみたいにメジャーでも受け入れられる可能性もあるけど、反対に、インディーズではベタだし、退屈なイメージがあるから優遇されない感じがあるよね。メジャーに受け入れられるのでそっちにいくのは仕方ないかもしれないけど、インディーズでこういうバンドがたくさん出てきたら面白いのにな。

次回はいよいよ憧れの地グラスゴー特集と行こうかな?!