ハイパーイナフラジオ局に潜入



ある日の夜更け。とある町の住宅街に男が二人。どう見ても周りとは不釣合いだ。
彼らの目的は一体?!おっ、何かしゃべりはじめたぞ。
若い男「先輩。こんな静かな住宅街に僕らのような公安警察のエリートが何の用ですか?」

中年「お前声がでかいぞ!ハイパーイナフラジオって知っているか?」

若い男「はい。もちろんですよ。あの得体の知れないラジオを使って国家転覆を図る要注意グループですよね。」

中年「そうだ。あいつらのアジトがこの家なんだ」

若い男「えっ?!ここがですか!そう言えばなんか薄気味悪い家ですねぇ〜。」

中年「よし早速潜入だ!」

若い男「ここが玄関ですか。なんか気味悪い絵が飾ってありますね」

中年「あれは松本大洋の作品だ。かなり危険な思想を持つ作家だ。」

若い男「もっと近くで見たいなぁ〜。」

中年「いかんいかん!あれを見ると脳をやらるぞ!」

若い男「ひぇ〜。」

中年「確か戦前に発禁になった筈だが何故ここに・・?」
若い男「その部屋はなんですか?」

中年「資料によるとここがリビングでラジオはこの部屋で収録してるみたいだな」

若い男「それじゃ、中に入らないと」

中年「いや、待て。人の気配がするぞ。とりあえず2階に行くとするか。」

若い男「えっ〜。見たかったなぁ〜・・。」

若い男「いよいよハイパーイナフラジオの心臓部に突入ですね♪」

中年「お前なんだか楽しそうだな・・。」

若い男「それにしても2階までやけに長い階段ですね」

中年「敵を欺く作りになっているんだろうな」

若い男「さすが!ハイパーイナフ」

中年「おまえ、誉めてどうするんだ!」
若い男「この部屋がハイパーイナフの司令室ですね。」

中年「そうだ。公安でここまで来た人間は皆無だろうな。感無量だ。」

若い男「また松本なんたらって奴の絵が飾ってありますね。」

中年「だから見たら駄目だと言っておるだろ。まったく。」
若い男「これがメインのコンピューターですね。どれどれ。」

中年「こら!トラップが仕掛けてあるかもしれないぞ。」

若い男「これを使ってラジオを配信しているんですね。恐ろしや。」

中年「あのラジオは非常に洗脳効果があるみたいだな。一度ラジオを聴くとハイパーイナフ無しには生活できなくなるらしい・・・。」

若い男「なんだか僕、寒気がしてきました。ブルブル。」
若い男「おっ!これがラジオで配布している諸悪の根源ですね。」

中年「いやいや、まだまだこんなもんじゃないらしいぞ。ここはハイパーイナフの出口の家だが、共犯の岩佐って奴は知っているな?」

若い男「はい。もちろんです。あの国際指名手配されてる男ですよね。あいつまで絡んでいるんですか?相当根深いですね。」

中年「あいつの不法占拠しているアジトにもかなりのウイルスを含んだCDが置かれてるらしいぞ。」

若い男「先輩。もう僕帰りたいです・・・。(涙)」

中年「アッ!足音がするぞ。とりあえず隣の部屋に逃げよう!」
若い男「なんですか?この部屋は。得体の知れない物がたくさんありますね。」

中年「ここはハイパーイナフラジオの資料室だな。どれどれ。」

若い男「こ、これは世界各国の極秘文書じゃないですか!先輩これはやばすぎますよ。」

中年「ここまでハイパーイナフの力が及んでいたとは・・。とてもわしらの力では太刀打ちできる相手では無いかもしれないな・・。」

若い男「先輩!あのロウ人形はなんですか?」

中年「おい、これはロウ人形じゃないぞ。今までハイパーイナフに潜入したわしの同僚だ!!」

若い男「えっ!!マジですか?先輩、早く逃げましょうよ!」

中年「そ、そうだな。人の気配は消えたようだし。」

若い男「先輩!ドアが開きません!!」

中年「な、なにぃ〜!!」
若い男「先輩、体が動かなくなってきました・・。」

中年「わしもだ・・。いよいよ年貢の納め時が来たようだな。」

若い男「ぼ、ぼ、僕らもあの人形のようになるんですか?!お母さ〜ん!!助けて〜!」

中年「ハイパーイナフラジオ恐るべし・・・。」




そして今宵も夜が更けていく。