パンク学科 第六回講義


講師 当大学学長

どうもお久しぶりじゃの〜。わしも色々忙しくての・・。今回は前回に続いてアメリカの良いメロディーを奏でるバンドの紹介じゃ。まあ今回も盛りだくさん紹介するでの、早速行こうかいな。

*バンド名に下線があるバンドはバンドのページへのリンクが貼ってあります
(オフィシャルじゃないものもあり)


DESCENDENTS/LIVEAGE!
(SST)1987

わしの青春の1ページじゃ。ハンバーガー、コーヒー、釣り、女の子などなどをキーワードに繰り出されるポップパンクサウンドにはわしも感服じゃ。その歴史は古くブラックフラッグ、レッドクロスなどと活動を共にしておった。その時代にこのサウンドを出すことは奇跡に近いのと違うのかいの。このアルバムはライブ盤。彼らのベスト的選曲で構成されており、もうそのテンションにはわしの重い腰もフリフリじゃ。この翌年出されたライブ盤「HALLRAKER LIVE!」もこのアルバムとほとんどダブり無しでこちらもベスト的選曲じゃ。(笑)そう彼らの曲はどれもが素晴らしいの〜。解散後、ご存知ALLで活動を継続、1996年に再結成したのじゃ。そのアルバムは思い入れがあまりないがミロのボーカルは相変わらず素晴らしかった。
GOODBYE HARRY/FOOD STAMP B-BQ
(CRUZ)1995

まあDESCENDENTSつながりでもう一枚じゃ。ALLの二代目ボーカルのスコットがTREEPEOPLEのメンバーらと結成したのがこのバンド。ALLに似た感じのポップなサウンドじゃが、若干こちらは湿った暗さが含まれておる。まあメンバーのルックスを見ても早々明るくはしておれん感じじゃな・・・。ALL,TREEPEOPLEっぽいひねくれた曲もありの、切なく胸を打つポップナンバーもありの内容じゃ。この後もう一枚アルバムを出し消息不明になったのじゃ。2曲目、9曲目なんかALLファンも納得のノリノリナンバーなので是非とも聴いてやっておくれ!
MOVING TARGETS/TAKE THIS RIDE
(TANNG)1993

KEN CHAMBERS率いるバンド。彼はBULLET LAVOLTA,JONES VERYなんかもやっておったんじゃが、やっぱこのバンドでしょう。前作「FALL」も素晴らしかった!そのアルバムにはいっておった「fumble」ってナンバーはわしの宝じゃ。このアルバムはより洗練され、HUSKER DU好きは失神ものじゃぞ。涙腺が緩むナンバーの目白押し!メランコリックで伸びやかなボーカルはBOB MOULDそのものじゃ。まあ、このアルバムはどちらかと言うとSUGARの音に近いの。まさにおっさんによるおっさんのためのパンクアルバムじゃ。下手な若人が手を出すとその後の人生を狂わされてまうぞ。
TREEPEOPLE/SOMETHING VICIOUS FOR TOMORROW&TIME WHORE
(C/Z RECORDS)1992

シアトルの変態バンド。現BUILT TO SPILLのメンバーとSTUNTMANのメンバーがやっていたのじゃ。もうふにゃふにゃのそのサウンドにわしもフラフラじゃ。パンクと言うよりグランジっぽいバンド。でもグランジって何?いまだに解らんの。このアルバムは以前リリースされた2枚を1枚に収めたもんかいの。わしがこのアルバムを取り上げたのは7曲目「FUNNELHEAD」があるからじゃ!何だこの横綱級号泣ナンバーは?さっきまでのふにゃふにゃは何処行った?SAMIAMなんか好きな生徒は失禁じゃぞ。まあ、それ以外の曲もかっこいいから聴いてちょ。
FUEL/MONUMENTS TO EXCESS
(ALLIED)1991

このアルバムがでたとき某レコード店は「SNUFF meets FUGAZI」って例えておったの。1曲目なんかまさにそんな感じじゃな。あの時代は今のメロコア前夜って感じでオリジナルの音を持ったバンドが次々出てきておもしろかったの。流行になると物真似ばかりで悲しくなるの・・。まあ本物はいつの時代でもいるしの。あっ!このバンドの話じゃな。もうエモーショナル!ただただエモーショナル!熱いボーカルなんかはAVAILなんか思い起こさせるのじゃ。2人のボーカルの掛け合い、疾走する曲展開は渋いの一言。やけどする並に熱いのぉ〜。その後、解散・・。中心メンバーのマイクは色々バンドをやっているみたいだが、長続きしないみたい。頑張ってくれ〜!
DOUGHBOYS/CRUSH
(A&M)1993

カナダのパワーポップパンクバンド。個人的に思い入れがあるのは彼らの3枚目「HAPPY ACCIDENTS」なんじゃがアルバムはスキャナーがの・・・。すまん独り言じゃ。あのアルバムは本当にわしの思い出が詰まっておる。あの雨の日を思い出すの・・。またすまん独り言じゃ。彼らは一般的に2枚目「HOME AGAIN」が代表作にあげられるが、わしはこのアルバムが好き。若干メジャー感のあるクリーンな音じゃが、元々そんなにパンク的なバンドじゃなかったしの。MEGA CITY 4のボーカルとの共作なんか超名曲じゃ。もう感涙・・・。え〜ん。甘いボーカル、感傷的な曲展開なんかパンク好きだけじゃなく、POSIESなど好きなギターポップファンにもお薦めじゃ。是非是非。ほんま泣けるの・・・。
YOUNG FRESH FELLOWS/THIS ONE'S FOR THE LADIES
(FRONTIER)1989

シアトルポップパンク界の首領FASTBACKSのカート率いるバンドですぞ。1曲目のへんてこな始まりから、一転の2曲目なんかまんまFASTBACKS!カート先輩、あなたのギターは何でこんなに泣き泣きなの?もう切ないの。恋する乙女の気持ちがちょっとは解った今日この頃じゃ。その後の曲はパンクって言うよりギターポップ、パワーポップ的アプローチでこれまた良いぞ!とろい感じのボーカルも味じゃな。ビートルズっぽい曲もあって、FASTBACKSが影響を受けたバンドたちが伺えるの。現在も活動中で他のアルバムもいいので一度手にとって頂戴ね。
THE MEICES/TASTES LIKE CHICKEN
(DECEPTIVE)1995

このバンドは確かカナダのバンドじゃったの。プロデュースは上記のカートじゃ。まあ、言うならグランジ的バンドなんじゃが曲が抜群に良い!泣き泣きのギターに粘りつくようなボーカル。ウン。わしの大好物じゃ。なんかこの気だるい感じがもろNIRVANA影響下って感じで良いの。それで曲がぐいぐいのパワーコードで押していきノリノリかつ涙じゃ。同じカナダってことでDOUGHBOYSに通じるのじゃ。このアルバムの前に出た編集盤はもっとパンクっぽくそれも良かったぞ。しかし、この後メジャーで出したアルバムは全然駄目じゃったの・・。今頃、実家の農業でも継いでおるのかいの?
SCHLEPROCK/PROPELLER
(DR.STRANGE)1994

この頃のDR.STRANGEはおもしろいバンドが次々出てきたの。なんでもそうじゃがブームの生まれる前ってのはシーンが盛り上がって凄く熱いからの。このバンドは音がひとつになって飛び掛ってくるような感じ。それ、どんな感じ?うるさい!切ないメロディーにとぼけたボーカルはもう完璧じゃ。せわしいドラムもいいの。明るいサウンドでは無いがの、凄くポジティブな気持ちにさせてくれるの。本当にいいアルバムじゃ。わしが中等学校に通っておった頃、好きじゃったサイケデリック・ファーズの名曲「PRETTY IN PINK」をカバーするセンスも素敵!
これまたメジャーに行きがたがたになったのぉ〜。残念・・。
FARSIDE/THE MONROE DOCTRINE
(REVELATION)1999

カリフォルニアのベテランバンド。こつこつREVELATIONからリリースをしておるの。今までも良かったんだけどな。凄く気合を入れて作ったって感じが伝わってくるの。結構バラエティーに富んだ内容で楽しめること請合い。アコースティックな曲なんか心に染みるの。ボーカルのベテランならではの説得力かの。随所随所で入るメロディックナンバーはそこらのメロコアバンドが太刀打ちできない出色の出来じゃ。15曲目の「TOO MUCH,TOO LATE」なんかハンカチが何枚あっても足りないぐらいじゃぞ。ブームと関係無く頑張るバンドは本当に潔いの。
BADTOWN BOYS/ST
(GIFT OF LIFE)1990

以前の講義で「ラモーンズの子どもたち」ってのがあったけど、そのとき取り上げるのをうっかり忘れたバンドじゃ。このアルバムは彼らの1枚目。プロデュースは元BAD RELIGIONのブレット。現在のラモーンパンクのアプローチとは若干違って、ラモーンズの甘いメロディーをよりスピードアップさせるそのサウンドは新鮮じゃ。渋い男っぽいボーカルもQUEERSなんかとの違いじゃの。若干詰めの甘い曲もあるが、ハイスピード高速ナンバーはコーラスも決まってかっこよい。諸君らもリーゼントを決めて聴いてやってくれ。
KID DYNAMITE/ST
(JADE TREE)1998

LIFETIMEのドラムDANを中心に結成されたバンド。1曲目を聞いて確信したの。これがメロコアって言われるんだったら、わしは全然OKじゃって。オーディションを繰り返して選んだボーカルは渋いぞ。叫びながらも歌い上げるその歌唱法はそりゃなかなか出来ないでしょうな。畳み掛けるような曲連発で思わず握りこぶしじゃ。後期LIFETIMEを更にスピードアップさせ、よりささくれだっている。それに加えメロディーもちゃんとある。もう完璧じゃ。これに続く2枚目も同様のかっこよさで来日の期待が膨らむ中、解散の報・・・。これからだったのに惜しすぎる。まあ、また新しいバンドをやってくれるだろうよ。
DILLINGER FOUR/MIDWESTERN SONGS OF THE AMERICAS
(HOPELESS)1998

正にリアルメロデックってのはこのバンドのためにあるんじゃないだろうかの。BROCCOLIを思い起こさせる青臭いボーカルと野太いボーカルの掛け合い、とことんラウドでメロディックなサウンド。久々に燃えたアルバムじゃ。もうレコードじゃったら溝がなくなるくらい聴いたの。そんで、バンドの姿勢はポリティカルと来たもんだ。もう完璧じゃ。来日も指折り数えて待っておったの。ライブも非常に良かった!まあ酔っ払っておってあまり憶えていないが・・。えっ?あんたはいつもそうじゃ?!返す言葉がありませぬ。続いて出た2枚目も良かった!えっ?また来日?!生徒諸君!一緒に盛り上がろう!!!!
F.Y.P/IN COMPLETE CRAP
(THEOLOGIAN)1994

あほ!あほ!ばか!ばか!このバンドは本当に鼻くそだの。録音わざと悪くしておるじゃろ。そこがかっこいいんじゃが。80年代のバンドは結構録音が悪いバンドがいっぱいおったしの。とても聴けたもんじゃない。でもかっこいいんじゃな。そんなどうしようもなさを受け継いだのがこのバンド。かすかすで乾いた音がこのバンドの信条じゃの。その突出した鼻くそ具合が受けまくりで結構な人気者じゃったの。このアルバムは彼らのシングルなどを集めた編集盤じゃ。最近解散したみたいじゃの〜。もっと頑張れあほども!
AVAIL/LIVE AT THE BOTTOM OF THE HILL IN SAN FRANCISCO
(LOOKOUT)1997

AVAILの衝撃を受けたのは彼らの2枚目じゃ。そのアルバムを紹介したかったのだが、当ハイパーイナフグループの岩佐がとっくの昔に売ったみたいなもんで。この陰金が!まあ、このライブアルバムにはそのアルバムの曲も多数収録されておるからの、これでご勘弁をじゃ。エモーショナルでじわじわ盛り上がる曲から、スピードナンバーまでひたすら熱いの。もう男臭さがプンプン臭ってくる。ダンスだけするメンバーが居るってのもポイントじゃの。刺青が凄い!来日行けんかった・・。すいません、神様!もうこんな過ちは起こしません。
GRIMPLE/REMEMBER....
(LIBIRATION RECORDS)

OPERATION IVY直系のベイエリアパンクサウンドにスカテイストちょっぴり。そんな彼らのコンプリート盤。ささくれ立ったそのサウンドは正にパンクじゃ。こういうの聴くと暴れたくなるの。クラストの影響も伺えるボーカルも最高にかっこいい。そして、メロディック!泣けるサウンドとは違うけどな。もう若気の至り的そのすべてがシンパシーじゃ。スピリットを一緒に出したLOGICAL NONSENSEの影響か、その後本格的にクラストに急接近し解散・・。微妙な感じが良かったのに惜しい。再結成して欲しいのじゃ。
RHYTHM COLLISION/CLOBBERER
(DR.STRANGE)1995

これは痺れまくりのラモーンズパンク。SCREECHING WEASELなんかのあの感じじゃ。このアルバムは2枚目で1枚目はいまいちだったの。しかし、このアルバムは全盛期SCREECHING WEASELの弾け具合を再現したようでかっこよいの。これがSCREECHING WEASELの新作だったら物凄く嬉しいのにの。疾走するそのサウンドにわしはメロメロじゃ。とても3人組とは思えんの〜。本当にラモーンズファンは聴いてくださいな。
DANCING FRENCH LIBERALS OF '48/POWERLINE
(REVENGE)1995

最後を締めくくるのはこのバンドじゃ。黒人を含む4人組。元何とかのバンドのメンバーみたいだけど忘れちゃったの〜。年だからの。もう切ない切ない大人のパンクロック(?)。アメリカンロック風味もかなりありますな。本当に歌心があるボーカルには心の琴線がビュンビュン言ってしまうの。酔っ払いの馬鹿に騙されたと思って一度聴いてやっておくれ。パンク、ハードコアを通過したおっさんがこんなバンドをやっているってのも感慨深いものやのぉ〜。(菅原文太調に)
どうじゃった?今回は色々なバンドを紹介したの。紹介出来なかったバンドはBIG DRILL CAR,SCHERZO,SHADE APARTなんかじゃ。色々事情があっての。えっ?スキャナーに取り込めんかった?!まあ、無きにしも非ずじゃ。今回紹介したバンドたちは結構古いバンドばかりだからの、まめに中古盤に行ったら破格で買えること必至じゃ。100円とかでの。

次回はアメリカ、イギリス以外のバンドでも取り上げようとするかな。ひゃ〜、疲れたの〜。