第二回 集中講義

講師 イアン・マッキンリー

今回はちょっと趣向を変えて日本の女の子がボーカルを取るポップバンドを取り上げてみたいと思う。それ以外に何の共通項もありません。ギターポップあり、アノラックあり、ポップパンクあり、オルタナありって感じで。まあ僕の大好きなバンドを取り上げたって感じですね。やっぱ、女の子ボーカルというのは同じ曲を男の子がやった時と全然印象を変えてしまう。キュートです。かわいいです。そんな感じで結構女の子然としたバンドが中心ですね。じゃ、行ってみよう!!

BOAT/FRUITS★LEE
(BAD NEWS)

ボートは非常に良いバンドだね。このバンドはスペースカンフーマンのASE君を中心に結成されたんだ。もちろんASE君がボーカルをとる曲もあるんですけど、中国人のアインちゃんのキュートでポップなボーカルは最高です。2曲目の中国語の曲なんかもう抱きしめてあげたいぐらいの切ないナンバーですね。もちろんこのバンドの他の曲も最高で、どこかぶっ壊れた感じだけど本当に良い曲ばかり。このアルバムは1枚目で2枚目の「SOUL THRASH TRAIN」もこのアルバムの延長線上で必聴です。その後メジャーに行き、最新アルバムは楽しいノリは押さえ気味だけど、味わい深いディープな内容でこれまた必聴!!これからも彼らからは目が離せません。
CATCH-UP/アージ
(MAJOR RECORDS)

このアルバムは彼女達の2枚目だね。1st「宇宙ブランコ」もなかなか良かったけど、このアルバムで完全に突き抜けたね。究極のギターポップナンバーの目白押しでもう感涙です。ラウドで泣き泣きのギターもかっこいいけど、やっぱこのバンドの魅力はマリモちゃんの声。顔もかわいいし。(なぜか顔を赤らめる・・)それで曲が滅茶苦茶ポップで心の琴線触れまくりです。これも作曲しているギターのミナコちゃんのセンスでしょうね。とにかくポジティブで切ない曲が聞きたかったらこのアルバムはマストですよ。最新のミニアルバムも非常に良い出来だし、あ〜ライブ観たい!!!(一回観てるけど)
TIROLEAN TAPE/DEMONSTRATOR
(UNDER FLOWER)

吉野桃子ちゃんの宅録作品。日本のアノラックを確立させた第一人者。でもアノラックってのも解ったようで解らないなぁ〜。まあ、そんな事は気にせず純粋に音楽を楽しみましょう。このアルバムは宅録なのでチープな音作りですが、もうおもちゃ箱をひっくり返したようなポップサウンドの連発でもうノリノリ!彼女の声は独特で癖があるがそれにはまると抜けられなくなるぞ。彼女の他の活動としてはRON RON CLOUのメンバーとのユニットTHE AUTOMATICSも最高ですな。そして現在バンド形式となったTIROLEAN TAPE CHAPTER4などもますます快調だね。しかし現在のバンド形式でのチロリアンテープよりこちらの宅録っぽい方が魅力的に写ってしまうのは僕だけだらろうか?まあ、個人の趣味ってことで。
SUNNYCHAR/COMPLETE COLLECTION
(UNDER FLOWER)

以前吉野桃子ちゃんが在籍していたサニッチャーのコンプリート盤。もう吉野桃子に外れなし!!素晴らしいポップナンバーの目白押し。現在の彼女より弾けていて勢いがあるねぇ〜。(目を細める)彼女の家にはスタジオがあり、そんな恵まれた環境の中でその才能を育んだろうな。お父さん、あんたはえらい!まあ、彼女の関わるバンドははっきり言って音的に同じなんだが、全部が素晴らしいね。あっ!妹のピコリとのユニットTIGER SHOVEL NOSEも最高だったな。インナーに載っている吉野桃子がPARASITESのニッキーにデモを送ったと言う話のもいいなぁ。そこまで聴いているのか君は!えらい!!
PIGGIES/ST
(KOGA RECORDS)

PARASITES繋がりでこのバンドを紹介しよう。彼らは男女混合の4人組。サーフテイスト溢れるパワーポップパンクでもう青春って感じ。PARASITES以外にもPSYCOTIC YOUTH,VACANT LOT何か思い起こさせるね。もちろん男性ボーカルも最高なんだが、ドラムのアッちゃんが取る曲に僕の胸が高まる・・。子供の女の子が精一杯声を振り絞って歌うようなそのボーカルに乾杯!PIGGIES様、初めてあなた達のライブを見て以来その虜です。解散の知らせ聞きました。非常に残念です・・。またあなた達に会えることを信じています。そんな感じで傑作アルバムだから全生徒必聴だ!!何か熱くなったね・・。
TAR TARE/DEATH BY SAUSE
(BANDAI MUSIC)

元LOVE PIGSのTAMAとSCHLONGのメンバーのユニット。SCHLONGってのは元OPERATION IVYのDAVEが居るバンドだけど、彼らの壊れたパンクサウンドも最高だね。その壊れ具合がこのアルバムにも効いており、TAMAのボーカルの無鉄砲さと合わせあってもう無敵だ。聞いた話によるとまず日本でTAMAが歌を入れそれをアメリカ送って作ったそうだよ。うそっ?!一緒に和気あいあい一発録りって感じのこの音が。奇跡だね。無意識な傑作。本当に遊び心に溢れておりバラエティーに富んでいるからパンクファンからギターポップ、パワーポップファンまで聴いてやって欲しいね。
DIZZY JOGHURT/INSIDE OUT UPSIDE DOWN
(KOGA RECORDS)

完全な吉野桃子チルドレン。これまた病み付きになるね。吉野桃子が影響を受けたであろうHEAVENLY,TALULAH GOSHのあの世界が再現されているね。HITOMI&KANAKOのボーカルも吉野桃子ほど癖がなくすっと胸に飛び込んでくる。そして本家より若干おしゃれな感じなサウンドかな。もう爽快だね。ちょっと前のKOGA RECORDはこんな雰囲気なバンドの宝庫だったな。今は若干パワーポップ、ポップパンク関連のバンドに力を入れてるみたいだけど。まあ、このバンドは曲が良いから買って頂戴ね。
SUPERSNAZZ/DIODE CITY
(TIME BOMB)

全ロックンロールパンクファン必聴なアルバム。SUPERSNAZZは結構歴史が古いバンドだな。グランジが盛り上がってた頃のSUB POPと契約して話題になったのも随分昔のことだね。このアルバムが出るまではあまり興味がないバンドだったけど、これ聴いてぶっ飛んだね。究極のロックンロールナンバーの速連射!それも19曲も。こんな贅沢なアルバムは早々ないね。曲も最高にポップだし、もう殿堂入り決定って感じです。この後「BABBA ROCKETS PATOROL」を発表。それもまた最高の出来。このまま、おばーちゃんになっても続けてもらいたいバンドだ。
CYMBALS/MISSILE&CHOCOLATE
(LD&K)

1stの「NEAT,OR CYMBAL!」に続く2枚目のアルバム。おしゃれで清涼感があるサウンドで現在はメジャーで活躍中。まさにLD&Kらしい作品です。前作も名曲揃いだったが、このアルバムはより洗練され、日本語の歌も飛び出す傑作です。言うならフリッパーズ・ギターのボーカルが女の子だったらって感じです。晴れた日の午後、紅茶なんか飲みながら聴くとすっかりおしゃれさん。最新作はカバーミニアルバムでTHE WHO、STONES、KINKS、ディズニーのサントラの曲などが彼女たち流にアレンジされています。まだ聞いていないけどね・・。
JENNY ON THE PLANET/ST
(KOGA RECORDS)

関西のアノラックバンドですね。PASTELS、BMX BANDITS、TEENAGE FUNCLUBなどグラスゴーのバンドたちが大好きみたいですね。サウンドも初期の彼らのような音で、それに頼りなげな女の子ボーカルが乗ってなんか心が安らぐアルバムです。また線の細い男性ボーカルの声もよりチープ感を倍増させておりもう脱力で〜す。結構行動力もあるみたいで1997年には何のブッキングもせずグラスゴーに行ってます。楽器片手に。それでまたライブをしてくるから凄い!その縁か、PASTELSの来日公演で前座も勤めました。
BP/ゴールデンBP.
(ZK)

轟音ギターを背にか細い女性ボーカルが切々と歌い上げる。正にオルタナティブ!かなりMY BLOODY VALENTINEなんかの影響を受けたでしょうね。このバンドとかなり共通する音が当時(1997)は巷に溢れておりました。LOVE PUNCH,POWDERなどなど。その中でも突き抜けて曲が良かったです。フィードバックギターもぐいぐいで。それがこのアルバムを出した後、1998年に解散・・。ルドルフ・シュミットなんかにメンバーの一部が関わっていましたが、現在はどうしてるんでしょうかね?アッ!そこの生徒あからさまに寝ない!!
TEENY FRAHOOP/WEE WEE POP
(KOGA RECORDS)

当時は結構アノラックバンドとして紹介されていたけど(KOGAだから?)このバンドはもっとストレイトなギターポップバンドだと僕は思うだけど、どうなんだろ?1曲目「EAT CANDY」は究極の名曲!当時この曲ばかり何回も聞いていたなぁ〜。もう、胸が締め付けられるぐらい切ない切ない。いい曲だね。メンバーは女の子3人組なんだけど、そのルックスの普通っぽさも良いね。等身大って感じで無理せず、前向きに歌い上げる曲の数々。そしてガレージテイスト溢れる曲もあって非常に楽しめる内容になっている。このアルバムに続く2枚目も出ているよ。

LUMINOUS ORANGE/SUGARCOATED
(MAJOR RECORDS)

KOGAから出た前作はいまいちの感が強かったが、MAJOR Recordsに移って出した本作で一皮向けたね。ラウドに鳴り捲るギターの中、囁くように歌うボーカルはマイブラを思い起こさせるね。イギリスのバンドみたいに独特の暗さもあるね。曲もメリハリが出て、聴き応えありです。内省的でメランコリック、でも力強くポジティブで結構励まされたなこのアルバムには。こう見えて悩み事は絶えないんだ。なんの悩み?もちろん学長の事だよ。いい加減この大学も辞めようかな・・。(半分真顔)
アメリカン★ヤング/DAVID LEE ROTH
(LD&K)

これは7曲入りのミニアルバム。結構能天気なポップサウンドを信条とするアメリカンヤングの2枚目です。前作より曲が断然良いですよ。アルバムタイトルから解るとおりしゃれっ気かなりあります。でもデビット・リー・ロスって物凄く懐かしいな。音で言うとLD&Kらしさはあまり無し。どちらかって言うと、上記のTAR TAREに近いかな?いや弁天っぽいって言ったらぽいね。とにかくポップポップで明るくノリノリです。スキップしながら明日からハイスクールに行きましょう!アッ!今思い出した。この能天気なサウンドはSLOPPY SECONDSに似てない?
800 CHERRIES/ROMANTICO
(CLOVER RECORDS)

札幌の宅録ユニット。男女二人組みです。とにかく優しいって印象を受けるアルバム。特にこの1曲ってのは無いんだけど全体を通して良質のポップサウンドを聞かせてくれる。GODZUKI、ORANGE CAKE MIXをふと連想したけど、もっとヨーロッパよりの音ですね。フレンチポップらしさもあり、ネオアコらしさあり、シューケーサーらしさあり。正にアノラックの対極って感じで、つぶやくように歌うボーカルも憂い雰囲気を漂わせておりますね。雨が降り続く外を見ながら聞くとより良さそうな予感です。はい。
RED GO-CART/SKIP AND MAKE IT FLOWER
(CLOVER RECORDS)

舌足らずのボーカルが繰り出すジャングリーポップワールド。名作コンピレーション「POP JINGU」に収録されて結構評判になったみたいです。それも頷ける楽しい内容となってるね。シャカシャカギターの高速カッティングいいですねぇ〜。、結構速いスピードで飛ばすんだけどパンクのそれとは違って軽いです。ピアニカの音色も最高です!二人の女の子のボーカルも最高!彼女たちが影響を受けたHEAVENLY,TIGER TRAP,TALULAH GOSHが見え隠れする楽曲たちも輝いています。吉野桃子とはまた違うけどこれまたアノラックです。素晴らしい!
SEAMEAL/PLUSH
(KIC RECORDS)

BPっぽいって言ったらそうなんだけど、もっとパンクチックな彼女たち。(って言っても女の子はボーカルだけ)伸びやかなボーカルが歌い上げる曲は泣けますね。メロディックパンク然とはしてないんだけど、CIGARETTEMAN、BUFFERINSなんかと共通項を見出せるサウンドです。ギターの人とか結構色んな音を聴いているんだろなって思ったね。とにかく疾走感があって、曲が抜群に良いから聞いてやって。現在は活動しているんでしょうか?誰かわかる生徒いる?
MUMMY THE PEEPSHOW/マミィブイヨン
(BENTEN)

まさに弁天らしい遊び心溢れるバンドです。ライブを見て気に入って購入しました。力が抜けたそのサウンド、適当な歌詞、へたくそな演奏、すべてが愛すべきものへと変わってます。(僕の中だけか・・)ポップな曲の数々にダイヤの原石みたいなものを感じていたんですけど。このアルバムは1枚目で1,2年前2枚目が発売されました。その中の曲をインディーズマガジンで聴いたんですけどめちゃ良かった。でも何処行ってもそのアルバム売ってないんです。どうしたもんでしょうか?
ヌードルス/スローコースター
(BENTEN)

オルタナっぽい音に艶かしいボーカルが乗るそのスタイルはなかなか無いと思うんだけど、どうでしょう?このアルバムは1st「重力泥棒」に続く2枚目です。このボーカルは癖がかなりありますから、好き嫌いがはっきりしますね。実際僕のまわりでも評判悪いです。(苦笑)音の雰囲気も結構乙女チックですからね。特に女性の評判が悪いです。でも僕は好きなんです。確かにいけてない曲もありますが、1,2曲目なんか好きです。後9曲目「愛の放つイメージ」なんかつぼなんですけどね、僕ちゃん。バブー。あっ?!

まあ、こんな感じですか。この特集ならロリータ18号、少年ナイフなんかうってつけなんだけど、個人的にあまり好きじゃないもんで。あとメンボーズなんかも非常に良いので聴いてやってください。それではこれにてハッピーエンド。