第四回 集中講義


講師 イアン・マッキンリー

いやいやどうも。今回は日本の轟音サウンドを奏でるバンドを紹介していきますね。一部轟音じゃないバンドもありますが、それはそれでってことで。もうパンクからロックまで色々です。まあ僕のお気に入りのバンド達ですね。とても今回だけでは紹介できない量なので、後1,2回に分けて授業する予定です。さあ、行ってみよう!

SUPERCAR/スリー・アウト・チェンジ
(SONY)

このバンドについていまさら語るのもなんだけど、やっぱ大好きなもんでね。このアルバム以降の作品も素晴らしいけど、思い入れからいくとやっぱこの1枚目ですね。ハイパーイナフグループの岩佐氏からシングル「LUCKY」を聴かされた時は衝撃だったよ。とうとう日本にもこんなバンドが出てきたのかって感じで。慌てて他のシングルも買い集めたな〜。で、このアルバムが出たんだけど本当に聴きまくった。マイブラ、ジザメリに影響を受けた感じのノイジーなギターも最高だけど、やっぱボーカルとメロディーが抜きに出てるね。みきちゃんの透明感のあるボーカルには本当に心洗われます。中村さんの暗く湿ったボーカルもいいしね。そんな2人のボーカルのコントラストが楽しめる「LUCKY」は僕の永遠の青春ナンバーです。あ〜、切ないです・・。

BLOODTHIRSTY BUTCHERS/KOCORONO
(KING RECORDS)

彼らとの出会いはピールアウトのライブでした。あのライブは客少なかったけど本当に良かった。もうもう彼らの演奏を聴いているだけで涙がウルウルでした。完全にトリのピールアウトを喰っていたね。実は10年くらい前に彼らのライブ観ているんだけど、その時はうるさいバンドだなって記憶しかありません・・。当時はバリバリのハードコアを求めていた時期でしたからね。(照れ笑い)まあ、彼らの良さは叙情的なメロディーと淡々としているけど感傷的な歌詞でしょうね。あっ、あと轟音!彼らのポストハードコア的アプローチの以前のアルバムも良いけど、やっぱこのアルバムが最強だ。これ以後の彼らは不動の地位を手に入れたと思う。ずっとずっと永遠にバンドをやり続けてもらいたいバンドですね。またライブに行こうっと。

NUMBER GIRL/SAPPUKEI
(東芝EMI)

彼らは売れたねぇ〜。彼らのシングル「DRUNKEN HEARTED」を聴いた時、なかなか良いなぁ〜って思っていた程度だった。ここまでかっこ良くなるとはね。そのシングル以後僕の関心は低くなっていたんだけど、僕の妻がこつこつ彼らのシングル、アルバムを集めていたんだ。で、このアルバムを聴かされた。いや〜、痺れた。メロディーの良さはそのままなんだけど、より力強くなって、お父ちゃん腰抜かしましたよ。ドラムとか凄いですね。歌詞も独特で自分達の世界を作り上げているし、曲名も響きの良い単語を繋げて渋いの一言。「URBAN GUITAR SAYONARA」「ABSTRACT TRUTH」って曲名からしてかっこいい!その「ABSTRACT TRUTH」は本当に僕のつぼですね。後半の畳み掛けるような展開なんか、思わず暴れたります。向井さんと酒をかっ喰らいながら、PIXIES談義がしたい今日この頃ですね。

COWPERS/LOST DAYS
(ZK)

もうカウパーズは大好きです!今の若い子達が洋楽をあまり聴かないって話しを聞くけど、こういうバンドが日本から出てきたらそうなるかなって思ったりしますね。それぐらいかっこいい!色んな音楽を聴いてきて、その影響を受けながらも完全なオリジナリティーを手に入れてます。4曲目の「CURVEU」なんかそのもっとも足る曲じゃないでしょうか?これを聴いて何も感じない生徒さんは僕が良い病院を紹介しますね。もう号泣です。えーん。またその曲をアレンジしたと思われる9曲目「CURVE」も疾走しまくりで、尻に火が付いてしまいます。本当にこのアルバムは屈指の名アルバムです。このアルバムに続いて出た「揺ラシツヅケル」では全編日本語で歌い、よりポストハードコア色が強くなりましたがこれまた名盤で一生付いて行きますって感じです。

EASTERN YOUTH/旅路ニ季節ガ燃エ落チル
(TOYS FACTORY)

彼らは昔から好きでした。彼らがまだOiっぽいパンクロックをやっていた時はライブにも行ったなぁ〜。そう上記のブッチャ−ズと一緒に出ていたライブです。でもあの時は本当に客いなかったです。確か10人くらいかな・・。今その2バンドが一緒にライブをやったらね〜。そういった時代を経て、今まで地道にやっているバンドは強いですね。自分達の音を時間をかけて作り上げた彼らは怖いもんなしです。このアルバムのお気に入りは「青すぎる空」。本当に切ないですね。歌詞なんかちょっとセンチメンタルで。(笑)続いて出たアルバム「雲射抜ケ声」も名曲揃いでかっこいい。今まで前面に出ていたボーカルが抑え気味で、バックの演奏とひとつの塊になってもう僕のハートにアタックです。本当に北海道のバンドは凄すぎます。

PEALOUT/ONE
(MIDI CREATIVE)

何気なく観にいったライブ。客は20人くらい。そのライブで彼らと初めて出会いました。一切手を抜かず、力強く演奏する彼らを見て、「あっ、このバンドは客のためじゃなくて自分達のためだけに音を出しているんだな」って感じました。もちろんその姿勢も素晴らしいけど、曲が良かったですね。その後、彼らのライブには結構足を運んでいますが、99年くらいのライブには本当に参りました。なんか訳もなく涙が出てきたんですよ。メンバーも後のインタビューで自分達も泣けてきたみたいなことを言ってました。ライブをやっているバンドも、それを見ている客も早々体験できる事じゃないと思いますね。そのライブで買ったのがこのアルバムです。初期の彼らの音はNIRVANAとかとかなり共通項が見出せますが、今作ではより広がりが出て完成度が高いアルバムになってます。その後のアルバムでは日本語で歌う曲も出てきて、より可能性を広げています。とにかく目が離せません。

LOVEMEN/CHILDREN EAT A NIGHTMARE
(SNUFFY SMILE)

ご存知ラブメンです。本当は次回の講義で、SNUFFY SMILE関連のバンドをまとめて取り上げようかって思っていたんですけど、ジャンル滅茶苦茶のほうが面白いでしょ。あえて今回取り上げますね。これは2枚目のアルバムになるのかな?レコード屋ではJAWBREAKERっぽいって説明されてるみたいです。確かに「24 HOUR REVENGE THERARY」に雰囲気似てますね。でも、もっとUKパンクっぽい陰りもあって、本当に切ないですね。垂れ流しのディストーション・ギターの旋律が胸を打ちます。もうひたむきでポジティブな気分になります。彼らのライブは何回も観てるけど、訳もなく泣けてくるんですよね。SNUFFY SMILEのバンドのライブ全般に言えることなんですけど。その後解散したみたいで、今はLONGBALL TO NO-ONEってバンドをやられてますね。

BONESCRATCH/DIAGLAM
(HG FACT)

このバンドも北海道のバンドですね。まさに激情タイプのポストハードコアって感じで痺れまくりです!海外の中途半端なそれ系のバンドより全然かっこいいです。サンディエゴ辺りのちょっと変態チックなハードコアな音にも近い感じ。え?どんな感じ?そこの君、余計な事は聞かないでね・・。あと、BORN AGAINSTとかの影響もかなり入っているかな。内ジャケの写真でメンバーの1人がBORN AGAINSTのレコード持っているし。実はこのバンドは現在解散しちゃってるみたいです。(涙)その後結成したバンドのライブを名古屋で観たんですけど、あれは凄かった!2人のボーカルが叫びまくり、のたうちまくりで。確かPLUGとのライブだったと思うけど、もうトリを喰っていたね。バンド名?ごめんね〜、忘れちゃったんだな。本当にあれは凄かった。今でも活動してるのかな?

BLUEBEARD/ST
(MANGROVE LABEL)

このバンドはマジでやばいです!日本のバンドって言われなければ気付かないよ。ボーカルの艶やかでいて、力強い声がその大きい要因かな。でも、曲も日本のバンドとかそんな事がどうでもよくなるくらい良いです!!1曲目のイントロから2曲目に入るとこなんか鳥肌もんだね。メンバーは元STAND STILLみたいです。そちらもかっこいいみたいなんで今度探そう。とにかくボーカルが凄いです。こんだけ伸びやかで張りがある声はなかなか居ませんね。しかし、しかしですね。このバンド2001年3月をもって活動休止に突入したそうです・・。(号泣)こう言ったバンドはやっぱライブを観ないとって感じなんですが、僕は観たことないんですよ。是非とも、活動を再開していただいて、その姿を拝みたいもんです。ナームー。

DEATH SURF 2000/TAILOGY OF AUDIO TRASH
(GOD'S POP)

DEATH SURF 2000!!名作B級映画「DEATH RACE 2000」からバンド名を取った思われますね。このバンドはライブです!!2回ほど観たんですけど、もう轟音でポップでそしてファニー!最高です。個人的にはギターの人のキャラが大好きです。低く構えたギターをフラフラになりながら弾く姿には感涙でした。後、いけない薬をやっているようなタンバリン少年の狂ったMCも。(笑)仲のいい悪ガキが集まって楽しんでいる感じが微笑ましいしね。もちろん曲も最高ですよ!切ないギターポップサウンドに轟音ギター、そしてムーグ!全部のセンスがいいからこそ、あんなにライブも楽しいのでしょうね。その後1枚アルバムを出しましたが(こちらも必聴)、最近音沙汰ないですね。誰か、彼らの近況ご存知?知っている生徒さんはこそっと教えてください!

FIRESTARTER/ST
(MANGROVE LABEL)

元TEENGENERATEのメンバーのパワーポップバンドです。TEENGENERATEももちろん最高です!そちらは次回の講義で紹介する予定です。僕はFIRESTARTERを聴く前に、TWEEZERSのライブを観たんですよ。あれはかっこよかったね。70年代パンク〜パワーポップな音でつぼ入りまくりでした。ちなみにTWEEZERSはTEENGENERATEのFIFI,SUPERSNAZZのトモコさんのバンドです。もうもう渋い!その延長線上の音ですね。よりパワーポップ的音に仕上がっていてこれまた素晴らしいです。もうもう全編を通して、刹那的なナンバーのオンパレードで胸がきゅんきゅん鳴ります。特に2曲目「ROCK'S DEAD」なんかイントロから泣けてきます。やっぱ、酸いも甘いも知ったベテランさんが奏でる音はレベルが違いますね!本当に潔いアルバムです。ってこのバンドは轟音じゃないです。ご勘弁を・・。

NAVEL/UNEASY
(SNUFFY SMILE)

もう彼らのライブは何回観た事だろうか?その度に胸が締め付けられます。線が細く頼りなげなボーカルが歌う切ない曲の数々。ギターの旋律が僕の琴線に触れまくりです。歌詞も前向きでいいですね。でも、このアルバムで1曲だけ選べって言われたら、ベースがボーカルをとる「POSTCARD」を挙げちゃいます。なんか彼の荒っぽくもひたむきなボーカルには、眼が潤んじゃって何も見えなくなります。ぐすん。でも、今は彼脱退しちゃってて、本業のお坊さん(!)に専念してるそうです。残念。最近このアルバムに過去の音源などを加えた編集盤が出たみたいです。また買わないと。そうそう、彼らのメロディックな曲も素晴らしいんだけど、何気にショートカットナンバーも大好き!もっと速い曲も聴きたい今日この頃です。

キウイロール/SQUEEZE
(ZK)

このバンドを初めて聴いた時は衝撃だったね。轟音でポストハードコア的でありながら掴み所がないサウンド。激情っぽい曲もありの、また日本語の歌詞が前面に出る切ない曲もありの。1枚目のミニアルバムは本当に聴きまくった。何なんだこのバンドはって感じで。ボーカルの乗せ方が若干ブッチャ−ズと似ているような感じもあるなっと思ったら、このバンドも北海道!北海道恐るべしです!オリジナルな音を出すバンドが次から次から。あっ!このアルバムの話ですね。ボーカルの歌がより前面に出て、痛いくらいに心に染み渡ります。完全に彼らしか出せない音を完成しており、より多くの人にアピールできる内容になったと思いますね。特に僕は4曲目「スクイズ」なんか大好きです!本当に素晴らしいバンドです。皆さん聴いてやってください!

PLUG/RESOUND
(STRAIGHT UP)

これまた北海道のバンドです。昔の彼らのインタビューを読んだんですけど、初期は結構メロコア的な音を目指してたみたいですね。でも、そこは北海道。先輩たちに色々聴かされたんでしょう。このアルバムでは完全無比なエモ−ショナル轟音サウンドを聴かせてくれます。3人組とは思えない分厚いサウンドです。壮大なスケールの楽曲の数々。本当にドラマティックでもう皆さんの涙腺を緩める事必至ですよ!時に叫び、時に優しく歌いかけるボーカルもまた良いですね。5曲目「ALL OF MY OWN」の前半のイントロ部分とか聴いて、かなりのセンスがあると見ました。なんかSEAMを思い起こしました。本当に本当に素晴らしいバンドなので、轟音好きな生徒さんは今すぐレコード屋に走ってくださいね♪

BENCH WARMER/ST
(START TODAY RECORDS)

もう奇跡の名作です!桑島兄弟を中心とした3人組です。彼らのライブを名古屋で以前見たんですが、あまりの曲の良さに即効買いました。そのライブって唯一の遠征ライブらしいです。本当にライブを観れた事に感謝です。このアルバムは7曲入りで彼らが残した唯一のアルバムです。今風に言うとエモっぽい音になるんでしょうが、そんな次元を超えて完全にオリジナリティーが確立してます。説得力があるボーカルが切々と歌い上げる名曲の数々。コーラスの絶叫も僕の好みですね〜。ちなみにハイパーイナフラジオの岩佐君は嫌いみたいですけど。この絶叫がいいのにね。本当に切なくて前向きでちょっと青臭くて、何度聴いても飽きがきません。とにかく屈指の名盤なので、聴いてくださいね!先生からの最後のお願いです・・。

SEASON/ST
(WIG-WAG RECORDS)

そして、ベンチ・ウォーマーの桑島兄弟が新たに結成したのがこのSEASONです。彼らのアルバムが出たと聞いて、いても立ってもいられなくなってSEASONのホームページで注文して買いました。期待を裏切らない出来です。って言うよりそれ以上かも。ベンチ・ウォーマーの延長線上の音なんですが、より奥行きが出て味わい深いアルバムになってます。案外ベンチ・ウォーマーを越えちゃったかもです。彼らが奏でる音楽を聴くと、物凄くポジティヴな気持ちになるのは何なんでしょう?とにかく、聴けば聴くほど味が染み出ます。(これはベンチ・ウォーマーにも言えることなんですけどね。)彼らはそんなにライブをやるバンドでないので、お近くに来た時には是非とも足を運びましょう!名古屋にも来てくださーい!ごめん、独り言ね。

SPACE KUNG-FU MAN/DOCARHYTHM WILD
(BAD NEWS)

ちょっと今までとタイプが違うけど、これまた僕の大好きなバンド。なんか摩訶不思議なセンスが溢れまくりのアルバムです。メンバーは結構他のバンドと掛け持ちしている人が多くて、何処まで本気なのかわからないけど一度聴くと病み付きになります。音はぶっ壊れてます。まあ、パンクなのかな?個人的には1枚目の「スポイツ」が一番好きなんだけど、どっか行っちゃいました。(泣)このバンドの魅力はやっぱボーカルの片山さんのキャラですね。お馬鹿ですね〜。彼を慕ってメンバーが集まっている感じがしてなりません。とにかく評価を受けにくいバンドとは思いますが、是非とも彼らの音に触れてやってください!ただし、人を選ぶと思いますが・・。(笑)



そんな感じですね。今回は北海道のバンドが多かったですね。
次回も同じく日本のバンドの紹介です。今度は結構パンク寄りになるかな。SNUFFY SMILEのバンドとかね。
まあまあ、今宵もハーピーエンドってことで。