ハードコア学科 第四回講義


講師 ハードコア界の宝 岡倉大吉


よっ!どうだお前ら!調子のほうは? ずいぶん生徒の数が減ったんじゃないか?!
まあいい。今日はストレイトエッジだ!まず、ストレイトエッジとは何か?そこの生徒言ってみろ。えっ、わかりません?(教室中が静まる)
まあ、当然だな。今からそれを教えるのだからな。

ストレイトエッジの発祥の地はおそらくワシントンだろうな。現FUGAZIのイアンがいたTEEN IDLESというバンドがワシントンで活動してたんだ。彼らはまだ未成年だった。アメリカという国は、未成年が酒を飲むと言うことにうるさくてな。ライブハウスでも同様だった。彼らがライブするとき、20歳未満の者は手にバッテンを書かれたんだな。未成年者に間違って酒を売らないためにな。
そこで彼らは「そんなら結構!誰がそんなまずいもん飲んでやるか」って自ら手にバッテンマークを書いたんだ。(バッテンマークという言い方もなんだが)それがすべての始まり。
まあ、それが突き進んで「酒を飲まない、タバコ、ドラッグをやらない、快楽のためにSEXをしない」というのが原則になった。MINOR THREATの「OUT OF STEP」でもそう歌われておる。まあ、子供が嫌う汚い大人みたいなことはするなってことかな。その考えはボストンに受け継がれ、80年代終わり頃ニューヨークで一大ムーヴメントを巻き起こす。
その考え自体は素晴らしいのだが、いつからか体育会系の若者が入りだしたことで、マッチョ主義が蔓延し、そして一部では右翼的スキンも流入。まさにレイシズムがはびこる世界に成り果てた。(すべてのバンドがそうだったわけでなく、その傾向の強いバンドが増えた。ポシティブなバンドももちろん沢山いたが)自分たちを特別だと思い込み、その意見を押し付ける。聞かない者には暴力で対抗する。

まあ、どっかの宗教みたいだな。現にストレイトエッジのバンドの奴で宗教にはまったのもいたけど・・・。
大体わかったか?でもなストレイトエッジそれ自体の考えは間違っていない。少しばかりのバカがそれを滅茶苦茶にしたんだ。何事も押し付けはいけないってことだな。
よし、今から紹介するバンドは88年以降のバンドを中心とする。思想はどうあれかっこいいバンドばかりだぞ!

YOUTH OF TODAY/BREAK DOWN THE WALLS&CAN`T CLOSE MY EYES
(WE BITE RECORD)

出たな!俺がストレイトエッジにはまったきっかけのバンド。88年ユースクルーの代表的バンドだ。その当時イギリスのクラスト系のバンドばかり聴いていた俺には、このジャケは非常に新鮮だった。なに、このはげって感じで。スピードパートとモッシュパートを巧みに使い分けたサウンドは、ずばりかっこよいの一言だ。腹から絞り出す声にも圧巻するだろう。しかし、彼らこそ体育会系マッチョスタイルの元凶。モッシュピットでは、ごついがたいのスキンヘッドが暴れまわり、ハードコアキッズは跳ね飛ばされる。ポシティブな歌詞とは相反しその取り巻きの質は悪かっただろうな。その後宗教にはまり、BETTER THAN A THOUSANDっていうメロディックなバンドを結成。ちなみにこのアルバムは、1stEPと1stLPのカップリング。
YOUTH OF TODAY/TAKE A STAND(LIVE)
(LOST&FOUND)

ドイツのLOST&FOUNDから出たライブ盤。ちょっとというか、かなりブートレグっぽい作り。裏ジャケがゴリラビスケッツのCIVだしの。レーベルがレーベルだからの。2ndLPの曲も収録されているぞ。(個人的にはこのアルバムが一番好物だな。)選曲もベスト的な内容だ。しかし、このアルバムの聴き所は、ずばりカバー曲だ!よし、みんなノートの用意はいいか?GORILLA BISCUITS,CRO-MAGS,SICK OF IT ALL,BOLD,CRIPPLED YOUTHのカバーだぞ。まさに88`S NY ストレイトエッジな選曲だ。忘れてならんのが、なんとSEX PISTOLSの「ANARCHY IN UK」もやっておる。そこの生徒!よだれがたれておる。
GORILLA BISCUITS/START TODAY
(REVELATION)

ストレイトエッジはもちろんハードコア界屈指の名作。ハードエッジながらドラマティックな楽曲、ポシティブな歌詞、ボーカルCIVの声質、それらすべてが魅力的だぁ〜!!CIVの天才的作曲能力が遺憾なく発揮されておる。このアルバムを聴いてどれだけの人が感動したんだろうか?現在のオールドスクールリバイバルのバンドがメロディックなタッチを持っているのはこいつらの影響大だ!TIME FLIESってバンドもいるしな。解散後結成されたその名もずばりCIVも若干ポップだが、卓越した曲を聴かしてくれる。現在、ボーカルのCIVは彫り師として活躍中だ。俺も彫ってもらおうかな。うん、うん。
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SICK OF IT ALL/BLOOD,SWEAT,AND NO TEARS
(IN-EFFECT)

アルバムタイトルがすべてを物語るゴリゴリのハードコアだ!SICK OF IT ALLは、1stEPとこのアルバムまでだな。1stEP,「NEW YORK CITY HARDCORE」で聴ける荒く速い曲も魅力だが、カチッと音がスクラム組んだような剛球サウンドが聴ける本作こそ彼らのベストだぞ。初期は、レイシストとかの噂が広がったが、その後の来日でその汚名を返上。白人至上主義の人間が日本になんて来ないだろう!?その来日はものすごい盛り上がりだったらしいぞ。そらそうだろう。初めてのストレイトエッジバンドの来日だからの。でもな、そのあと来日しすぎ!日本に住んでるのでないかって噂が出たほどだ。現在FAT WRECKで、お金儲けに励んでいる。
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AGNOSTIC FRONT/VICTIM IN PAIN
(COMBAT CORE)

現在再結成しているAGNOSTIC FRONTの名盤1stだ!このアルバムではアグレッシブで荒いハードコアを聴かせてくれるぞ。当時はかなりやばいバンドでみようによってはナチスキン的な雰囲気があったの。そうでなかったら「UNITED BLOOD」って題名普通つけるか?まあ、なんにせよこのアルバムのRAWな感じはまさにハードコアの心意気って感じでかっこよいぞぉ!このあとメタル化していき、おれはまったくだめだったの。ボーカルのロジャーの弟とアグノステックのメンバーが結成したMAD BALLもこのアルバムに通じるものがあって必聴だぞ!ただし、1stEPのみな!
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UNIFORM CHOICE/SCREAMING FOR CHANGE
(WISHINGWELL RECORDS)

ロスアンゼルスのストレイトエッジバンド。なんだ?!このすごいアルバムは!ニューヨークのバンドの出す音とは若干違うが、これは凄いぞ!疾走感があり、かつドラマティック。そして、歌心のあるボーカルが雲の上へと押し上げた。ストレイトエッジの中ではゴリラビスケッツと同じくらい好きじゃぞ!!うぉー!また、スローテンポで始まり山場で加速していく曲も燃えるぞ。前身バンドUNITYも昔聴いたが、それはいまいちだったの。再結成アルバムだったしの。
WIDE AWAKE/25 SONG DISCOGRAPHY
(SMORGASBORD)

昔、知人に借りたビデオで彼らを見た。「ス、凄い!俺の求めるストレイトエッジはこれだ!」ってそのときは握りこぶしを握ったの〜。ずっと捜し求めて、やっと出たぞディスコグラフィー!お母さん、ありがとう!!ストップ&ゴーのサウンドスタイル。タメのりフのうまいことうまいこと。微妙なポップさも魅力だ。当時、名古屋にOUT OF TOUCHってバンドがいたんだが、かなり共通点を感じるぞ。どちらがオリジナルということは置いといて、当時は暴れまわったの。あの頃日本には、こういったサウンドスタイルのバンドはほとんどおらんかったからの。
CHAIN OF STRENGTH/THE ONE THING THAT STILL HOLDS TRUE
(REVELATION)

ニューヨークのバンド。YOUTH OF TODAYの第二世代的バンドだ。まさにストレイトエッジアンセムといった曲の目白押し。そらそうだ、このアルバムは彼らの名盤1st,2ndEPのカップリングだからの。分厚いコーラスにはシングアロンせずにはおられないぞ。ドラマティックな曲にはうならせれるぞ。しかし、彼らは問題も多く、金だけ頂きレコードを送らないなど中学生並みのことをし嫌われておったそうだ。
TURNING POINT/1988-1991
(JADE TREE)

ニュージャージーのストレイトエッジバンドのコンプリート盤。初期は典型的なサウンドだったが、かなりいけるぞ。それに、だんだんメロディックさを加えた名盤1stLPも聴き応えありだ。後期はちょっときつい物があるが、その変遷は興味深いな。早過ぎたポストハードコアって感じだな。実際、ストレイトエッジのバンドの多くは今日のポストハードコア的サウンドに変わっていったからの。JADE TREEらしくおしゃれなジャケットだ。
INSTED/WHAT WE BELIEVE
(EPITAPH)

カリフォルニアのバンドのアルバムだ。エピタフに気に入られたのもわかる疾走感のあるサウンド。俗にいうストレイトエッジスタイルのサウンドではないが、かなりかっこよいぞ。また、そのボーカルスタイルのか細さもポップさに一役を買っているんだろうな。誤解を恐れるずに言おう。初期のPENNYWISEにかなり似ているぞ!まあ、両方エピタフだしな。ストレイトエッジはあくまで考え方であってサウンドスタイルじゃないからの。
NATIONS ON FIRE/A CENDA A CHAMA
(LIBERATION)

ベルギーのバンドだぞ。まさにポシティブな音づくり。結構、今の若いコがこのバンドをフェイバリッドに挙げるがそれが頷けるかっこよさだ。YOUTH OF TODAYというよりどちらかというとUNIFORM CHOICEみたいな疾走感のあるサウンドだの。モッシュパートはほとんどないからの。歌詞も結構ポリティカルでそこもYOUTH OF TODAYとの違いだ。歌も結構歌心がありそこもポイントだ。このアルバムは、二枚のアルバムが入っておるが、後期はベース以外は違うメンバーでちょっとつらいな。えっ?この講義もつらい?!
VA/NEW YORK CITY HARDCORE
(REVELATION)

〆はもちろんこのアルバムだ。すべてがここから始まったって感じだ。日本での話だぞ。このアルバム以後、日本でもストレイトエッジの存在が認知され今日にきておるのだ。陳腐な言葉だが、歴史的名盤だ!!まあ、簡単に聴き所をな。SICK OF IT ALLの狂った速さ荒さは今日の彼らからは想像出来ないな。WARZONEは、このアルバムの「AS ONE」と1stLPの「WE`RE THE CREW」が俺の大好物だ!ストレイトエッジではないが、NAUSEAもかっこよいぞ!とにかく、熱いオムニバスだ!とにかく聴け!!

よし、以上だ。ストレイトエッジ特集としては中途半端な感じだな。すまんの。俺の専門学科ではないからの。まあ、俺も勉強お前らも勉強ってことだな。あと、JUDGEの1stEPだけは聴け!昔、悪友と交換したのが悔やまれるぞ。でも、交換したのがLIFE SENTENSEの2nd LPだからの、文句は言えないの。

最後に、最近の若者でストレイトエッジのバンドのTシャツを着て、手にバッテンマークをしている子をよく見かける。もちろんライブハウスでだ。それだけならいいが、なぜタバコを吸っておる?なぜ、酒を飲んでおる?やめておけ!ファッションだけを追うのは!

以上、授業終わり