第一回 集中講義


講師 イアン・マッキンリー


どうもです。今日は僕の大好きなSUPERCHUNKのお話でもしようかって思ってます。彼らの結成は1989年だからもう結構なベテランさんだね。出身はノース・キャロナイナのチャペルヒル。小さなカレッジタウンだそうだ。オリジナルメンバーはMac McCaughan(ボーカル、ギター)、Laura Ballance(ベース)、Chuck Garrison(ドラム)、Jack Mccook(ギター)の4人。SUPERCHUNKの名前の由来はドラムのChuckの名前をもじってつけたそうだ。初めはCHUNKって名前で行こうと思ってたらしいけど同名のバンドがいてSUPERをつけたって僕の死んだおふくろがよく言っていたね。MacとLaura(実は夫婦)が運営しているMERGEレコードはSUPERCHUNKを出すために設立されたみたいな話を聞くけど、実はMacが以前在籍していたBRICKSのシングルを出すためってのがその理由みたいだね。レーベルの設立もSUPERCHUNKの結成前だし。まあ、ChuckとJackがその後脱退し、現在はJim Wilburがギター、Jon Wursterがドラムとなってるよ。

彼らの魅力はその卓越したソングライティングも上げられるけど、あくまでメジャーのレコード会社に入らずインディーズにこだわり続けるその姿勢も大きいと思います。グランジブームが巻き起こり数々のオファーがメジャーから来ても断り続け、やがてブームが去ってメジャーに行ったバンドたちが次々首を切られ失速していく中で彼らは着実に人気を掴みつづけた。そして、地元のバンドや知り合いのバンドをそのMERGEからリリースするってのもポイント。今のMERGEレコードの充実度はなんだ?!THE LADYBUG TRANSISTOR,GUV'NER,VERSUS,MAGNETIC FIELD,THIRD EYE FOUNDATION。なんかアセンズのキンダーコアやエレファント6などに通じるレーベルの在り方がファンの共感を一層高めるんだろう。まあ何はともあれ彼らの作品の紹介といこうか。

−アルバム−
Title/SUPERCHUNK
発売/1990 レーベル/MERGE

彼らの記念すべき1stアルバム。わずか2日間で録音されたみたいだね。ほとんど一発録りの世界でしょ。パワーコードで押していき今に比べるとかなりパンキッシュな内容。でも、この時点で今のスーパーチャンクの原型が出来ているのは凄いの一言だね。まあ、ちょっと曲作りが甘いけどね。6曲目の「SLACK MOTHERFUCKER」なんか名古屋のシガレットマンに通じるもんがあっていい曲ですねぇ〜。このアルバム発売後、ギターのJackが脱退しJim Wilburが加入。
Title/NO POCKY FOR KITTY
発売/1991 レーベル/MATADOR

スティーブ・アルビニがプロデュースの2ndアルバム。シカゴ・レコーディング・カンパニーでこれまたわずか3日間で録音された傑作アルバム!このアルバム以後彼らの人気に火がついたのもうなづける内容です。2曲目の「SEED TOSS」なんか初期の超名曲だよね。始めのギターを聞いただけで泣けてきちゃうよ。その他の曲も相変わらずのパワーコードギターにメロディックなメロディー、そしてMacの甲高く切ないボーカルがのりもう名曲揃い!まあ彼らが作る曲は全部いいんだけどね。このアルバムの発売直前にドラムのChuck(Chunk!)が抜けJon Wurster(男前!)が加入。
Title/ON THE MOUTH
発売/1992 レーベル/MATADOR

ROCKET FROM THE CRYPTのJOHN REIS(SPEEDO)を共同プロデュースに迎えた3枚目。前作の倍の6日間かけてて作られた大作(笑)。彼らの基本はスタジオライブ演奏、あまりオーバーダビングしない。その結果いつもこんなにレコーディング期間が短いんですね。うん、うん。彼らはよくNIRVANA,SONIC YOUTH,PIXIESなんかに例えられたがもうそんな次元にはいません。前作で確立させたスーパーチャンク節をより強調した内容です。思えばこの年の12月スーパーチャンクはこの日本の地を踏んだですね・・。あー、行きたかったライブ!!誰かもう一度呼んでくれよ。頼むから。あっ!そうそうこのアルバムと前作はニューヨークのMATADORからの発売ね。そうTEENAGE FUNCLUBも出していたあのレーベルから。
Title/FOOLISH
発売/1994 レーベル/MERGE

今まで1年区切りでアルバムを出してきた彼らが2年間かけて作った4枚目。でも録音3日間!ミックス2日間!プロデューサーはブライアン・ポールソンって人。UNCLE TUPELOなんかを手がけたそうです。彼らはアルバム毎にプロデューサーを代えて新鮮な感覚でレコーディングするのを信条としてしていて、それでころころプロデューサーが変わるんですね。今回は1曲目の静かな始まりに象徴されるように、若干今までと雰囲気が違いますね。もちろん彼らお得意のドライブ感溢れるナンバーもありますが、繊細なしっとりナンバーありの、重い曲はよりサイケデリックにで結構楽しめます。同年MacのソロプロジェクトPORTASTATICが始動しだしそれに似た曲も収められている。
Title/HERE'S WHERE THE STRINGS COME IN
発売/1995 レーベル/MERGE

あのさ、この前学長に聞いたんだよ。「ハイパーイナフ大学の名前の由来はなんですか?」って。そしたらはにかみながらこのアルバムの1曲目の題名から取ったってさ。ウン。それもうなずける素晴らしいアルバムだね。僕と彼らの出会いがこのアルバムだからより一層思い出深いよ。1曲目のその名も「HYPER ENOUGH」は本当に始まりのギターから胸が締め付けられる。本当に歌心があって、切なくて暖かくて明日からガンバローってそのときは思います。(苦笑)この後彼らは更なる進化を遂げるんですが、その狭間で結構過小評価されてるみたいですね。スーパーチャンクファンの中でも人気ないみたいです・・・。僕としてはこのアルバムと一緒に買ったJAWBREAKERの「DEAR YOU」共々永遠の心の一枚です!
Title/INDOOR LIVING
発売/1997 レーベル/MERGE

2年ぶりとのなる6枚目のアルバム。ジョン・プライメールという人がプロデュースし、12日間で録音された。彼らの基本はスタジオでの一発録りなんだが、このアルバムは結構オーヴァー・ダビングをやっているよう。またキーボード、スチームオルガン、ピアノの導入も彼らの創作意欲を物語っています。その結果より作りこんだ楽曲が並んでいて、スピードを抑えた曲が増え、より繊細なメロディーを強調している。これもMacのソロプロジェクトPARTASTATICの経験が良い意味でスーパーチャンクのサウンドに反映した結果でしょうね。もちろん彼らお得意のスピードナンバーも健在です!5曲目の「No bruises」なんか彼らの長年のファンも唸る究極の名曲だよね。近年彼らの注目度が高まったのはこのアルバム発表以後でそれも納得の素晴らしい出来となっている。ウーン、良いアルバムだ!(彼らのアルバム全部に言えますけどね。)
Title/COME PICK ME UP
発売/1999 レーベル/MERGE

毎作アルバム出すごとに良くなるアーティストってそうそういないね。先行シングルの「Hello hawk」を聴いて確信はしていたけどここまで素晴らしいとは!シカゴにあるアルビニのスタジオで録音され、プロデュースはあのジム・オルーク!ストリングス、ホルンのアイデアも彼にかなりもらったみたいで、より広がりのアルバムになったのは彼の貢献も多いでしょうね。まあ、かといって次のアルバムは違うプロデューサーを頼むと思うけどね。本当にこの泣きのギターは何?この抱きしめたくなるようなメロディーは?ガラス細工のような繊細なボーカルは?このアルバムにやられない子はいないだろうね?!彼らがやって来たことがここで確実に結実した。うん。彼らこそが本物だ。スーパーチャンクとティーンネイジ・ファンクラブには一生ついていこうと思う今日この頃です。全音楽ファン必聴ってことで。また今春レコーディングに入ったそうなので今年中にはアルバムが出ると思います。わくわく。
Title/TOSSING SEEDS 89-91
発売/1992 レーベル/MERGE

What do I/My noise/Train from Kansas city/Slack motherfucker
Night creatures/Galic/Fishing/Cool/The breadman/Cast iron
Seed toss/It's so hard to fall in love/Brand new love

彼らの初期シングルを集めた編集盤。パンキッシュで今からは想像も出来ない曲もやってます。(特に最初のシングル)そりゃ彼らパンクもハードコアも通過してますもの。アルバムに収められてる曲もありますが、微妙にアレンジが違います。何はともあれダイヤの原石です。
Title/INCIDENTAL MUSIC 91-95
発売/1995 レーベル/MERGE

Shallow end/Mower/On the mouth/Cadmium/Who needs light
Ribbon/Foolish/100,000 fireflies/Invitation/Makeout bench/Baxter
Connecticut/Lying in state/Throwing things/I'll be your sister
Night of chill blue/Forged it/Home at dawn

1991年から1995年までのシングルのB面、コンピレーション参加曲、未発表曲などを集めた編集盤。「On the mouth」「Foolish」などアルバムの題名になっているのにそのアルバムに収められていない曲もあります。本当この人たちはこういう遊びをよくやります。
-シングル-
Title/MOWER
発売/1992 レーベル/MERGE

Mower/On the mouth/Fishing

やっぱ貴重なのは「Fishing」。ロンドン大学でのライブです。まさにパンク的な音でいいですね。「On the mouth」もこれまたシガレットマンを思い起こす早急ナンバーでかっこよし。
Title/THE FIRST PART
発売/1993 レーベル/MERGE

The first part/Connecticut/Foolish

このシングルはの聴き所は「Connecticut」でギターのJimがリードボーカルを取っていることでしょうか。言われるまで気付かないって。
Title/split with GUIDED BY VOICES
発売/1996 レーベル/FELLAHEEN

SUPERCHUNK :
A small definition/Her royal fisticuffs/The mine has returned to the original owner
GUIDED BY VOICES:
Delayed reaction brats/He's the uncle/The key losers

このスピリットはお買い得ですね。アルバムに収録せれてない曲ばかりです。特に眉唾ものは2曲目。青春パワーポップナンバーで涙です。また1995年以後の編集盤出してください!GBVも浮遊感がある切ないナンバーばかりでこれも激良いです!
Title/HELLO HAWK
発売/1999 レーベル/MERGE

Hello hawk/Sexy ankles/Low branches/Pink cluds/Crused mirror

本当に「Hello hawk」は名曲ですね。このシングルを聴いて新たなるスーパーチャンクの誕生を確信しました。後半3曲は「Come pick me up」収録曲のアコースティックヴァージョンです。
Title/1000 POUNDS
発売/1999 レーベル/もちろんMERGE

1000 pounds/White noise/Scray monsters/1000 pounds(acoustic)

このジャケットの絵かわいくありません?Macが描いたそうです。画才もあるんじゃないんですか。未発表曲では「White noise」がしっとりしていてなかなかのか佳曲。「Scray monsters」はハードロックチックでおもしろいです。
-関連バンド-
PORTASTATIC/SLOW NOTE FROM A SINKING SHIP
発売/1995 レーベル/MERGE

スーパーチャンクのボーカルMacのソロプロジェクトの2枚目。全部でアルバム3枚とミニアルバムが1枚出てると思いますね。宅録でやってます。これまたスーパーチャンクと違ってよいです。Macの声がより前に出て心に染みます。3枚目でよりドリーミーな感じになってアセンズのバンドを思い起こさせました。近々アルバムが出る模様です。
SEAM/THE PACE IS GLACIAL
発売/1998 レーベル/TOUCH&GO

Macが以前在籍していたバンドです。ビッチ・マグネット、コーディンのメンバーらとのプロジェクトです。現在は本格的に活動してるのでしょうか?そんな事は置いといて、これは本当に名作です。酸いも甘いも知った大人の奏でるパンクロックです。パンクって言ってもそんなに激しくないけどね。ナート、カウパーズのメンバーも絶賛したその内容は文句のつけようがありません。渋いよ!おっさん!!
SMALL/SILVER GLEAMING DEATH MACHINE
発売/1995 レーベル/ALIAS

スーパーチャンクの初期メンバーChuck在籍のバンド。この前にもアルバムがもう一枚出てます。そちらもいいがこれもまた大人のパンクロック(あくまでパンクじゃなくパンクロックね)で最高です。SEAM共々聴いてやってください!!スーパーチャンクを抜けてこんなバンドに入るって(結成する)って本当に渋いよ、Chuck!!今は活動してるんでしょうか?誰か教えてくれ!!


SUPERCHUNK関連リンク
スーパーチャンクのオフィシャルサイト!ライブ音源なども聴けます。
ご存知マージレコードのページ。スーパーチャンクの新曲のデモ聴けます!
ファンのサイト。文字化けしてますが音源あり写真ありで充実してます。
日本では唯一(?)のスーパーチャンクのファンページ。